- 2003-07-03 (木) 21:43
- 本音のコラム
本音のコラム(18回目)7月3日付
土地、建物などの不動産の登記ほど現代社会の「幻」性を物語るものはない。
土地、建物の登記簿は所有権を示す欄として甲区といわれる部分、抵当権等を示すものとして乙区とする部分に分類されている。
例えば住宅ローンで一戸建てを購入した場合、甲区には「所有者」の名前と住所などが記載され、乙区にはローンを組んだ銀行などの金融機関名と借入金額などが記載されている。国民の間に強くあるとされる「持ち家」願望というものは、結局のところこの甲区欄に自らの名前を記したいというものである。
ところが法的にはなるほど甲区は所有者と言うことであるが、ローンの返済が滞れば、自動的に乙区の抵当権者が権利を行使し競売ということとなり、所有権者の立場は抹消される運命になる。極論すれば、甲区は店子、乙区は大家の関係に近いものと思われる。
大家は店子が月々の支払いが出来なくなればいつでも追い出せるという権利関係にある。
そうだとするなら、ローンで家を買うという行為が果たして「持ち家」願望を実現するものと言えるのだろうか。そのうえ、仮に30年のローンを組んだとした場合、その発想の根底には30年間病気もせず無事に過ごし、なおかつ定期的収入が継続するという大前提がある。これは「幻」というのではないだろうか。甲区欄に名前を記すということが「持ち家」願望の実現と思いこみ「努力」することの意味は、実に虚しい。
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